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学校法人日本医科大学

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がん特集  最新情報 大腸がん

大腸がんは40代から増加し始め、高齢になるほど増える病気です。がんの中では比較的進行が遅いとされていますが、やはり早期発見と適切な治療を受けることはとても大切です。 今回は日本医科大学千葉北総病院消化器内科の藤森俊二(ふじもり・しゅんじ)先生にお話を伺いました。

大腸がんは40代から増加し始め、高齢になるほど増える病気です。がんの中では比較的進行が遅いとされていますが、やはり早期発見と適切な治療を受けることはとても大切です。
今回は日本医科大学千葉北総病院消化器内科の藤森俊二(ふじもり・しゅんじ)先生にお話を伺いました。

大腸がんとは?

図1:大腸がんの深達度大腸(盲腸・結腸・直腸)に発生するがんで、日本人は特に「S状結腸」と「直腸」に出来やすいといわれています。
大腸の表面には粘膜の上皮組織がありますが、これは細胞が約1週間で生まれ変わるという入れ替わりの活発な組織です。加えてさまざまな化学物質や腸内細菌などの大腸内容物の影響もあり、大腸は他の消化管と比べてがんになりやすいと考えられています。
大腸がんには、上皮の粘膜細胞から発生した良性のポリープの一部ががん化したものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。このうち、がんが上皮層にとどまり小さいものを「早期がん」粘膜下層より深くに進行しているものを「進行がん」と呼んでいます。さらに進行すると、大腸から肝臓などの別の臓器へ転移することも多くあります(図1)。

大腸がんの原因について

図2:食品、栄養、身体活動と大腸がん (出典:World Cancer Research Fund & American Institute for Cancer Research, 1997より翻訳、一部改変)大腸がんは遺伝子変異の積み重ねによって発生するとされています。近年話題になった卵巣がんや乳がんを引き起こす家系のように、大腸がんになりやすい家系もあります。このように遺伝的な影響を受けるため、家系に大腸がんを患った方が多くいる場合には特に注意が必要です。
生活習慣の面で、ほぼ確実に大腸がんの促進要因であると判明しているのが「アルコール」です。「肥満」もかなり可能性が高いとされており、食事面では、赤肉(牛・豚・羊肉)、加工肉(ベーコン・ハム・ソーセージなど)も可能性の高い促進要因です。
最新の2016年9月に発表された大腸がんを伴いやすいタイプのポリープの促進要因は、アルコール摂取・たばこ・肥満・赤肉摂取・脂肪摂取で、最も強い要因は中でもアルコールとたばこと報告されています(図2)。

大腸がんの予防について

予防の面で確実といえるのは「運動」です。運動量について明確な基準はありませんが、毎日一定の時間歩く程度でも予防に繋がると思います。
また、食べ物の予防効果でほぼ確実とされているのは「野菜」です。前述したがんを伴いやすいポリープの予防には適切な葉酸摂取が有効と報告されており、野菜には葉酸が含まれているので、野菜の摂取は良いとされています。
私は大腸腫瘍と葉酸の研究をしていましたので注意してほしいことは、"適切な"葉酸摂取が重要であるということです。すでにがんに罹患している人が葉酸を過剰摂取すると、葉酸ががん細胞の成長を助け、がんの進行を早める可能性があります。
また、野菜に含まれる食物繊維のがん予防効果について期待されてきたのですが、残念ながら十分な証拠は得られていません。その他のビタミン類などについても予防の可能性があるとされていますが、いずれも確実に効果があるとはいえないのが現状です。

プロフィール

【 経歴 】
略歴:
1989年 日本医科大学卒業後同第三内科入局
1993年 三菱大倉山病院消化器内科出向
1994年 日本医科大学千葉北総病院内科助手
2003年 日本医科大学付属病院消化器内科助手
2007年 日本医科大学付属病院消化器内科講師
2013年 日本医科大学付属病院消化器内科准教授・医局長
2015年 日本医科大学千葉北総病院消化器内科部長
      日本医科大学千葉北総病院内視鏡センター長
2016年 日本医科大学千葉北総病院病院教授

専門分野:下部消化管(小腸・大腸)、炎症性腸疾患の治療、大腸腫瘍の疫学、近年はカプセル内視鏡を用いた研究が中心
所属学会:日本消化器病学会専門医・指導医・評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・評議員、日本消化管学会専門医・指導医・代議員、日本カプセル内視鏡学会専門医・指導医・代議員、日本消化吸収学会評議員、総合内科専門医、日本大腸肛門病学会、日本臨床寄生虫学会、日本小児内視鏡学会、日本大腸検査法学会、米国消化器病学会(AGA)
主な著書:内科学書(中山書店・分担)、消化器病学(西村書店・分担)、専門医のための消化器病学(医学書院・分担)、胃と腸アトラス(医学書院・分担)、消化管内視鏡アトラス(医薬ジャーナル社・分担)、総合診療マニュアル(金芳堂・分担)、動画でわかるカプセル内視鏡テキスト(コンパス出版局・分担)など

 

こちらの記事は「意気健康 19冬号(2016年12月発行)」の巻頭特集に掲載されたものです。
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