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体が発するSOS  胸痛

Webマガジン 体が発するSOS、胸痛 小原俊彦

胸痛と聞くと、命に直結するような怖い症状というイメージを持つ方が多いかもしれません。実際は、さまざまな原因から生じる誰にでも起こりうる身近な症状なのです。しかしながら、万が一命にかかわる場合を考え、危険な痛みについて知り、正しく治療を受けることが大切です。今回は胸痛の種類やその原因・治療法などについて、日本医科大学付属病院総合診療科の小原俊彦(おはら・としひこ)先生にお話を伺いました。

胸痛とは?

胸痛は文字通り胸の痛みを表す症状で、医学的に明確な定義はありません。患者さんによって痛みの感じ方、表現の仕方も異なります。胸痛にはさまざまな種類があり、痛みを感じさせる原因である病気によって症状が異なります。また同じ病気であっても、痛みを感じる場所や持続時間などに個人差が大きいことも特徴です。緊急性の高くない胸痛が多い一方で、胸部には心臓、大動脈、肺などの重要な臓器があるため、すぐに治療を開始しないと命にかかわる緊急を要する疾患も含まれています。

胸痛の原因について図1:胸痛をきたす疾患

胸痛の原因の中で緊急性の高いものには、心臓の病気、肺の病気、胸部を走っている大動脈の病気が主に挙げられます(図1)。動脈硬化に関する疾患は高年齢層、自然気胸であれば若年層の痩せ型男性、急性心筋梗塞では閉経後の女性が多くなるなど年齢、性差によっても発症しやすい病気に違いがあります。また、緊急性は高くなくとも肺がんのような重症度が高い病気も、胸痛を引き起こす原因の一つです。

特に緊急性の高い深刻な状態に繋がる恐れのある疾患について

心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓に酸素や栄養を送り届ける動脈(冠動脈)が詰まってしまう病気です。心臓が酸素・栄養不足の状態になるために、胸の痛みが出現します。典型的な症状として、胸が強く押される、締め付けられるような痛み、冷や汗や吐き気、喉が締め付けられる感覚、左手が痺れる症状などがあります。お年寄りの方、糖尿病の患者さんでは、典型的な胸の痛みを伴わないことがあるので注意が必要です。冠動脈が詰まったままだと心臓の筋肉に酸素が届かず、重い不整脈、心不全、心破裂などの命にかかわる合併症を起こしてしまいます。

急性大動脈解離
急性大動脈解離とは心臓から、体中に血液を送り出す大動脈が動脈硬化を起こし、大動脈の内側の膜と外側の膜の間(中膜)が突然裂けてしまう病気です。症状に伴い胸部から背中にかけて、強い痛みが急激に出現します。大動脈が裂けていく過程で、痛みを感じる場所が胸から腹部まで移動します。もしも大動脈が破裂してしまった場合には即死、そうでなくても各臓器の血流障害を引き起こす大変恐ろしい病気です。

肺血栓塞栓症
肺血栓塞栓症とは、エコノミークラス症候群として知られる病気です。長時間同じ姿勢をしていることで足の血流の流れが悪くなり、静脈の中に血の塊ができ、歩行などをきっかけとして足の血管から血液に乗ってその塊が流れ出し、肺動脈に詰まってしまうことで起こります。肺で酸素交換が出来ないために突然息苦しさを感じたり、血圧の低下やふらつき、めまいを感じたりもします。一過性の意識障害が発生することも特徴です。肺に繋がる動脈が完全に詰まってしまうと突然死を引き起こすことがあります。

プロフィール

小原 俊彦先生


【 経歴 】
略歴:
1988年 日本医科大学 卒業、日本医科大学 第一内科 入局
1998年 米国 Cedars-Sinai Medical Center へ留学
2009年 日本医科大学付属病院 総合診療科 医長
2011年 日本医科大学 循環器内科 講師
2014年 日本医科大学 総合医療・健康科学 講師

専門分野:
総合診療学、循環器病学

資格:
循環器専門医、内科認定医、日本プライマリケア学会認定医、日本病院総合医学会認定医

公的役職:
日本心電図学会評議員

 

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こちらの記事は「意気健康 14秋号」の巻頭特集に掲載されたものです。