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学校法人日本医科大学

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研究室レポート  最新の不整脈研究

Webマガジン 『病気と医学』 最新の不整脈研究

日本医科大学循環器内科学教室は長い歴史を誇り、4つの付属病院および派遣病院、関連施設を含むと総勢約200人が所属する大所帯の教室である。その歴史ある循環器内科学教室を2013年4月から大学院教授として率いているのが清水渉(しみず・わたる)医師である。清水教授はこれまで国立循環器病研究センターの心臓血管内科を中心に、循環器疾患分野の中でも特に「不整脈」の診療および基礎研究と臨床研究を一貫して実施してきた。
 

ワンポイント不整脈とは?

図1 正常心電図 図2 正常心電図における波形の特徴 図3 不整脈の分類方法不整脈とは脈のどういう状態を指すのだろうか?心臓が正常に働いている時は、脈の心拍数やリズムは一定であり、心電図上は図1のような波形を描く。P波は心臓の心房と呼ばれる部分の、Q〜U波は心室という部分の電気的興奮を表す。

また、図2のように、心臓が正常に動いている場合は、それぞれの波は一定の幅と高さに収まることが知られている。

一方、なんらかの原因で心臓に異常をきたすと、心臓の動きが悪くなり、その結果、心臓の電気的信号を表す心電図上の波形にも変化が見られるようになる。この状態が不整脈と呼ばれることになる。

不整脈の分類方法には様々な様式があるが、一つは「刺激の発生時の異常」なのか、あるいは「刺激の伝導時の異常」なのかによって分類が出来る。また、場所的な分類として、心房性なのか心室性なのか、または脈の早さによる分類として、頻脈性なのか徐脈性なのか、という分類方法もある(図3)。
 

ワンポイント不整脈の症状

不整脈では自覚症状が見られないことも多いが、頻脈になると動悸やめまいが生じ、徐脈では息切れや疲労感が出ることがある。また、重篤な不整脈になると失神などの一過性の意識消失などがみられ生命に関わる大変危険な状態となる。このような命に関わる危険な不整脈は「致死性不整脈」と呼ばれ、心室に異常をきたす「心室細動」や「心室頻拍」といった不整脈があげられる。これらは突然死の引き金にもなるため、即座に治療を行う必要がある。また、遺伝的に心筋細胞に異常があるために突然脈が乱れて意識を失うなどの症状をきたす先天性QT延長症候群などの不整脈があり、放置すると心室細動や心室頻拍に繋がることが知られている。

清水 渉 教授 しみず ・ わたる 数ある循環器病疾患の中から清水教授が不整脈を研究テーマに選んだ理由は、医師になって間もない頃に出会った一人の不整脈の患者さんに遡る。初めて担当した先天性QT延長症候群(LQTS)の患者さんは清水教授と同い年の26歳であった。その患者さんは「小学校時代から運動中の失神歴を持つ方で、心電図によってLQTSと臨床診断されました。その後は私の外来に30年近く通院されていました。この患者さんとの出会いこそが、私が先天性LQTSなどの遺伝性不整脈に興味を持ち、その後のライフワークにするきっかけを与えてくれたことになります」と清水教授は語る。
 

ワンポイントLQTSとは?

LQTSは、トルサード・ド・ポアンツという心室頻拍が起きて突然に意識消失発作を起こす不整脈疾患で、その多くが遺伝することが分かっている。発作がないときは無症状であるが、発作が起こると立ちくらみや失神、動悸、気分不快、さらに心室細動に移行した場合は突然死を起こすこともある。心電図上でQTが延長していることで診断は出来るが根本的な治療法はまだない。一方、薬物治療や植込み型除細動器(ICD)の埋め込み、交感神経遮断術などによって突然死の多くは予防出来るという。

それでは、清水教授がこれまで取り組んできた不整脈分野、その中でもLQTSのトピック的研究成果について見ていこう。

プロフィール

清水 渉WATARU SHIMIZU

日本医科大学大学院 医学研究科循環器内科学分野 大学院教授
日本医科大学付属病院 循環器内科・心臓血管集中治療科・内科系集中治療科 部長

【 経歴 】
1979年広島私立修道高等学校卒業。1985年3月広島大学医学部医学科卒業、4月同大学医学部付属病院内科研修医。1987年国立循環器病センター 心臓血管内科レジデント。1990年公立三次中央病院内科医員。1991年広島大学医学部第1内科。1992年国立循環器病センター心臓血管内科医員。1996年米国New York州Masonic Medical Research Laboratory (Charles Antzelevitch教授)留学。1998年国立循環器病センター 心臓血管内科医員。2003年同医長。2011年同部長。2013年日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野大学院教授。

専門分野:循環器内科学、不整脈学、心臓電気生理学、分子遺伝学
資格:1992年3月医学博士(広島大学第1内科 梶山梧朗教授 第2233号)、1988年10月日本内科学会認定内科医(第803号)、1990年12月日本内科学会認定総合内科専門医(1093号)、1993年4月日本循環器学会認定循環器専門医(10263号)、2008年9月日本内科学会認定医制度・研修医指導医、2014年4月日本不整脈学会・日本心電学会認定不整脈専門医(0511号)
公的役職、所属委員:1995年NASPE(北米ペーシング電気生理学会)Member、1999年日本ペーシング電気生理(現:不整脈学会)評議員、2000年American Heart Association(米国心臓学会)Member of Scientific Council on Basic Cardiovascular Sciences、2010年9月日本心電学会理事、2011年8月日本不整脈学会国際交流委員会・アジア担当専門委員会委員長、同年9月日本心臓病学会FJCC、同年10月日本不整脈学会学術集会プログラム委員会副委員長、2013年9月日本心臓病学会評議員、同年10月日本心臓病学会理事長補佐、同年12月欧州心臓病学会FESC、2014年4月日本内科学会評議員、同年6月日本循環器学会情報広報委員会委員、同年6月日本循環器学会国内交流委員会委員
受賞:1992年10月第8回木村栄一賞最優秀賞(第9回日本心電学会)、1997年5月第18回北米ペーシング電気生理学会(NASPE)若手研究奨励賞最優秀賞(基礎部門)、1998年3月第47回米国心臓病学会(ACC)若手研究奨励賞(基礎部門)、1999年4月第24回国際コンピューター心電学会(ISCE)Jos Willems若手研究奨励賞最優秀賞、2003年9月第3回日本心電学会医科学応用研究財団論文賞最優秀賞、2008年3月第33回日本心臓財団佐藤賞(第72回日本循環器学会学術集会)

 

こちらの記事は「意気健康 13夏号」の研究室レポートに掲載されたものです。