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高齢者に多い病気特集  白内障

Webマガジン 高齢者に多い病気特集 小早川信一郎 こばやかわしんいちろう 多摩永山病院・診療部長

「白内障」と聞くと、高齢者がかかる目の病気というイメージを持つ方が多いと思いますが、実際には若年者もかかる可能性がある身近な病気です。今回は白内障について、原因や症状、治療法について、日本医科大学多摩永山病院眼科の小早川信一郎(こばやかわ・しんいちろう)先生にお話を伺いました。

白内障とは?

図1:白内障の状態白内障とは、目の中にある水晶体という臓器が濁ってしまった状態を指します。水晶体は厚さ約4㎜前後、直径は約9㎜の透明な円盤型のレンズで、カメラでいう凸レンズの役割を果たしています。この臓器があることによって、私たちは物を見ることが出来るのです。この水晶体が加齢や何らかの問題で濁り、物が見えづらくなると白内障と診断されます。白内障が疑われる患者さんの目の状態を診察すると、水晶体が薄い茶色や黄色に着色していたり、濁ったりしているのが確認出来ます(図1)。

白内障の原因について

図2:白内障有病率白内障は、濁りが生じている場所や、病気が起こった原因によりさまざまな種類に分けられています。代表的なものでは、加齢により発症する老人性白内障、皮質と呼ばれる部分が白濁する皮質白内障、核部分が硬化してしまう核白内障などがあります。水晶体に濁りがあって、視力低下がみられると白内障と診断されますが、その原因は多岐にわたるため、なぜ濁りが発生したかという原因の特定は難しいとされています。実は生まれたばかりの赤ちゃんが持つ水晶体が一番透き通って完成した状態で、そこから年月を経て休みなく物を見続けているので、生きているうちにある程度の濁りが出てくるのは自然なことなのです。したがって30代や40代であれば、誰でもある程度はくすみや濁りが存在しており、それが高齢になるにつれて濁りが進み、物が見えづらくなることで白内障と診断されるのです。現在80歳以上の高齢者では、67~83%の方が白内障であると診断されています(図2)。
一方で、人数はそこまで多くないものの、若年層にも白内障の患者さんは存在します。先天性の白内障のほか、アトピーが原因で白内障を起こすケースや、格闘技などのスポーツ外傷が原因で発症するケースも多く見られます。また中年期では生活習慣病である糖尿病を患っている方が、起こしやすい合併症の一つです。

白内障の症状

患者さんが訴える症状でよくいわれるのは、「ガラスや眼鏡が曇ったような見え方をする」というものです。水晶体に濁りが出た位置によって見え方は異なるのですが、水晶体の中央部分が曇ることで見え方が悪くなる、かすんで見える、ピントが合わなくなるといった症状が現れます。さらに白内障になると物が2つや3つに見えることがあります。これは複視と呼ばれる症状で、水晶体の濁りが強く偏ることでレンズの形が変形し、歪んだレンズから物を見ることで乱視を引き起こしている状態です。病気が進んでくると水晶体が白濁し、やがて完全に濁り、瞳が白くなってしまいます。また自覚症状として、目の鈍痛や頭痛を訴える患者さんもいます。これは白内障により水晶体が厚くなり、目の中にある水分の流れを妨げてしまうことで起こります。水が溜まりすぎて、目の中の圧力(眼圧)が高くなりすぎることで起こる症状です。

プロフィール

小早川信一郎先生


【 経歴 】
略歴:

1988年 東邦大学医学部 卒業
1992年 東邦大学大学院医学研究科修了(医学博士)
1994年 大森赤十字病院(眼科副部長)
2003年 東邦大学医学部助手
2003年 Oklahoma Health Science center, Gilmore Research Group(Microbiology)
2006年 東邦大学医療センター大森病院 講師
2010年 東邦大学医療センター大森病院 准教授
2014年 日本医科大学 多摩永山病院 診療部長(眼科)
2015年 日本医科大学 准教授

専門分野:
白内障手術・眼感染症

資格:
日本眼科学会専門医、指導医

所属学会、公的役職:
日本眼科手術学会理事、日本白内障学会理事、日本白内障屈折矯正手術学会理事

 

こちらの記事は「意気健康 15号冬号」の巻頭特集に掲載されたものです。