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学校法人日本医科大学

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高齢者に多い病気特集  肺炎

Webマガジン 高齢者に多い病気特集 日本医科大学付属病院 呼吸器内科 藤田和恵 ふじた・かずえ 肺炎

現在、日本人の死因第3位となった肺炎。幅広い年齢層の方に発症する肺炎ですが、特に高齢者の方々に多くみられます。肺炎は、普段の生活で正しい知識を身につけ予防を行うこと、また、発症した場合には迅速で適切な治療を受けることが大切です。今回は日本医科大学付属病院呼吸器内科の藤田和恵(ふじた・かずえ)先生にお話を伺いました。

肺炎とは?

肺に炎症が起こる病気のことを総称して「肺炎」といいます。肺炎には、主に細菌やウイルスなどの病原微生物により炎症が起こる「感染性の肺炎」、服用した薬剤が原因で起こる「薬剤性肺炎」、関節リウマチや多発性筋炎・皮膚筋炎などの免疫異常によって起こる膠原病に合併する「間質性肺炎」など、さまざまな原因や病態が含まれます。最も頻度が高く、特に高齢者の方に多いのが「感染性の肺炎」です。
2012年以降、厚生労働省の人口動態統計で、がん、心疾患に次いで、肺炎の死因別の死亡数は第3位となりました(図1)。これは、高齢者人口が増えていること、慢性の心臓病や肺の病気、糖尿病などの持病をお持ちの方や、がんの治療中など、免疫の働きが低下している方が増えてきたことが原因と考えられています。図1:日本人の死因(出展:厚生労働省「人口動態統計」から)

肺炎の原因について

肺炎は、原因となる病原微生物が肺の中へ入ることにより起こる病気です。肺炎の患者さんを診た場合には、まず「どこで肺炎を発症したか」ということに注目します。「普段健康的な生活をしていた方が肺炎を起こしたのか」「介護施設等に入所中に肺炎を起こしたのか」「何らかの病気の治療のため病院に入院して48時間後に発症したのか」という大きく3つに分けて考えます。なぜ肺炎を起こした場所が大切かというと、発症した場所によって肺炎の病態や原因微生物が違うため、その原因に基づいて治療を行う必要があるからです(図2)。図2:肺炎の分類
他には、高齢者によく起こる誤嚥性肺炎にも注意が必要です。ADL(日常生活動作)や全身機能の低下、特に脳血管障害を有する場合に認められやすい「嚥下機能障害」を背景に起こる肺炎で、高齢者の食事摂取に関連して発症します。口腔や咽頭内容物の誤嚥や胃逆流物の誤嚥などが原因で、嚥下反射の低下により知らない間に口の中に常在する細菌が唾液とともに肺に流れ込み、肺の中で細菌が増殖して肺炎を引き起こします。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係しているといわれています。食後すぐに横にならない、食事中や食後、また就寝中に上体を起こすといった姿勢の工夫、口の中を清潔に保つなど、日常生活のちょっとした注意で誤嚥を予防することが出来ます。

プロフィール

藤田和恵先生


【 経歴 】
略歴:
1993年 川崎医科大学 卒業
1993年 川崎医科大学附属病院 内科
1995年 川崎医科大学附属川崎病院 呼吸器内科
1999年 熊本大学 第1内科医員
2001年 川崎医科大学附属川崎病院 呼吸器内科
2005年 日本医科大学 内科学講座 呼吸器・感染・腫瘍部門
2007年 東邦大学医学部 微生物・感染症学講座
2011年 日本医科大学 呼吸器内科 助教

専門分野:
呼吸器疾患、特に肺炎をはじめとする呼吸器感染症の病態研究、および診療

資格:
日本内科学会内科総合専門医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本感染症学会専門医・指導医、日本老年医学会専門医

公的役職:
日本呼吸器学会代議員

 

こちらの記事は「意気健康 17号夏号(2016年6月発行)」の巻頭特集に掲載されたものです。